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天岩戸神社西本宮の御神体でもある、天岩戸を見せてもらいました。
念のために書いておくと、天照大神の隠れた「天の岩戸」とされている場所は各地にあります。
その中の一つが、この天岩戸神社です。

天岩戸は御神体ですので、気楽に見ることは叶いません。
天岩戸神社西本宮に向かう参道で、地元ガイドの方が声をかけてくださり、天岩戸の見方を教えてくださいました。
高千穂では、このように導いてくださる声がいっぱいでした。

方法は簡単で、社務所に受付をするだけ。
タイミングによって少し待つことにもなりますが、その間に「彫(え)り物」を発見したりと、待つのもまた楽しいです。

神官さんがやってきて、天岩戸の遙拝所に向かいます。
神社によっては簡単な裃をつけたり、または正装でなければ参拝できないところもありますが、ここは普段着のままでOK。
そのまま粛々と向かうわけではなく、社務所から拝殿までの途中でも簡単な解説をしてくださり、またそれが神社の建前ではなく論理的なので、良い方に案内していただいたと思います。

巫女鈴の元となった「おがたま」の木のエピソードなどを聞いたあと、
拝殿の横の小さな入口より、遙拝所に向かいます。
入って第1コーナーを回ると、あっけないほど簡単に遙拝所です。
中に入って分かったのですが、拝殿は崖地に建っていて、奥行きはほとんど無いのです。
遙拝所は屋根付きで、ギュウギュウに詰めれば15人くらいは入れるスペース。
屋根の垂木が垂直に伸びていないのがすぐに気がつきます。
少し左斜めに伸びているのです。
これは、そのまま垂木の伸びている延長線上に天岩戸があるそうです。
岩戸川を挟んだ同じ目線の高さで、距離は200~300mの崖地の一部が割れ、かすかに岩屋らしきものが見えます。
かなり崩落が進んでいるそうですが、高さ9m、深さ18mの横穴なのだそうです。

神官さんの説明では、西本宮では「天岩戸」が御神体なのに対し、東本宮では「天照大神」が御神体で、東本宮はそもそも天照大神が神になる前に住んでいたところで、東本宮から天岩戸までは道があったのではないか?
また、天鈿女命(あまのうずめのみこと)の舞は岩戸の目の前ではなく、少し遠くでのことではないか?
「戸取」も実際には阿蘇山の噴火ではないか?と、実に論理的に解説をしてくださりました。
確かに天岩戸の前に神々が集まるスペースは狭く、高千穂には鈿女の舞った舞台となった石もあるそうで、その距離も神の目を持ってすれば埋めることはできるのかもしれません。(笑)

しかし、そうなると古事記にはこんな記述があります。(筆者要約)
天照大神が岩戸を少しあけて外の様子をうかがうと、神々が楽しそうにしている。
「何故そんなに楽しそうなのか」と尋ねると、天照大神に鏡を見せ「もっと尊い神さまがいらっしゃったので祝っているのです」と天鈿女が答えます。
その鏡に映った女神のあまりの美しさに岩戸をもう少しあけたところ、手力雄によって扉を取り除かれてしまう。

鏡のくだりはどうなるんだ?

古事記を含め、神話の世界の話は象徴に次ぐ象徴の話なので、鏡もまた湖などを象徴しているのかもしれませんが、私の知識不足で、今後の宿題ですね。
しかし、岩戸川の作り出す谷のほとんどを神域としてしまう天岩戸神社は、たいへん清浄な空間で身体が軽くなったような気がしました。