東日本大震災:福島第1原発事故 政府事故調中間報告 岡本孝司氏、西脇由弘氏の話

◇復水器対応ミスが連鎖--東大教授(原子力工学)・岡本孝司氏

1号機の非常用復水器(IC)操作に関する東京電力の対応ミスが、その後の2、3号機の炉心溶融・水素爆発へと連鎖波及した様子が浮かび上がった。ICの記述に多くのページを割いている通り、事故の原因は、1号機の対応に由来する。

ICに関して、報告書は二重の失敗があったことを指摘している。一つは、「電源喪失時は弁が自動的に閉まる」という設計上の問題だ。ICがある原発は、国内では他に日本原子力発電敦賀原発だけで、過去に2回起動例がある。

(弁が閉まらないように)改良しなければ、敦賀原発でも同様の事故が起きる恐れがある。なぜこうした設計のまま改良してこなかったかを検証することが重要であり、国と東電は、報告書の教訓を踏まえ、再発防止に努めなければならない。

もう一点は、IC操作について東電社員が未習熟だった問題だ。報告書は「作動の経験者がおらず、経験談が口伝えされるだけ」と指摘したが、電源がない中、ICをどう操作するか訓練をしていれば事故は回避できた可能性がある。報告書では3号機のHPCI(高圧注水系)について、運転員が手動停止した結果、代替注水のための減圧操作にも失敗したことが触れられている。もし操作が適切に実施されていれば3号機の水素爆発は回避できたのではないか。

◇「複合災害」対応、検証を--東大客員教授・元保安院課長、西脇由弘氏

報告書は、首相の執務室がある首相官邸5階と、本来は事故のオペレーションに当たる危機管理センター(官邸地下)とがバラバラに対応したことに触れており、津波・地震・原発が重なった「複合災害」の際の政府の危機管理のあり方を問う内容と言える。

政府の現行の災害対策がうまく働いたとしても、「複合災害」の下で機能を果たせるのか、もっと突っ込んで検証すべきだった。

例えば、報告書では政府の緊急事態応急対策拠点施設(オフサイトセンター)の機能不全が指摘されているが、米国や韓国では、原子力災害の際、施設内の対応は規制機関が1拠点で対応する集中管理型を採用している。複合災害で交通網などの混乱が予想される中、今後もオフサイトセンターで事故対応に当たる仕組みがいいのかどうか、政府は報告書をたたき台にもっと検証すべきだ。

また、報告書は事故の遠因となる原子力産業や、原子力規制が抱える問題点とその背景に触れておらず、不十分と言わざるを得ない。スリーマイル島原発事故(79年)では、米政府の調査報告書が当時の原子力産業界の問題点について言及しており、参考になるはずだ。

原子力産業や規制が今後目指すべき方向性など、大局的な視点からの考察と提言も、最終報告では明記してほしい。

毎日新聞 2011年12月27日 東京朝刊